最近、
マンションの大規模修繕工事について打ち合わせをしている中で、
「中東情勢の影響で資材価格が上がっている」
「原油価格高騰の影響で見積金額を見直したい」
「資材納期が遅れて工事工程へ影響が出ている」
と言われるケースが増えています。
しかし、
「なぜ中東情勢が日本のマンション修繕へ影響するの?」
「原油価格と防水工事にどんな関係があるの?」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、
マンション大規模修繕工事で使用される資材の多くは、
石油由来材料と深く関係しています。
そのため、
中東情勢による原油価格変動は、
防水材・塗料・シーリング材などの価格へ影響し、
結果として工事費上昇へ繋がりやすいのです。
この記事では、
- なぜ中東情勢が工事費へ影響するのか
- 原油・ナフサと建築資材の関係
- 特に影響を受けやすい工事項目
- 管理組合として意識したいポイント
について、
初心者にもわかりやすく解説します。
■結論|中東情勢はマンション大規模修繕工事費へ影響している
まず結論として、
中東情勢による原油価格変動は、
実際にマンション大規模修繕工事費へ影響しています。
特に影響を受けやすいのが、
- 防水工事
- 塗装工事
- シーリング工事
- 長尺シート工事
など、
石油由来材料を多く使用する工事項目です。
最近では、
「以前より見積金額が高い」
「材料納期が不安定」
「代替材料を提案された」
というケースも増えています。
背景には、
中東情勢
↓
原油価格変動
↓
ナフサ価格上昇
↓
化学製品価格上昇
↓
建築資材価格上昇
↓
大規模修繕工事費上昇
という流れがあります。
つまり、
海外の情勢変化が、
最終的に日本のマンション修繕工事へ影響しているのです。
■なぜ中東情勢で工事費が上がるの?
では、
なぜ遠く離れた中東情勢が、
日本のマンション大規模修繕工事へ影響するのでしょうか。
その背景には、
「原油」
と
「ナフサ」
があります。
■中東情勢と原油価格の関係
中東地域は、
世界有数の産油地域です。
そのため、
- 紛争
- 地政学リスク
- 輸送不安
- 国際情勢悪化
などが起きると、
世界的に原油価格が変動しやすくなります。
原油価格が上昇すると、
ガソリン価格だけでなく、
さまざまな産業へ影響が広がります。
建設業界もその一つです。
■ナフサとは?なぜ建築資材と関係するの?
ナフサとは、
石油から作られる化学製品の原料です。
簡単に言うと、
「さまざまな樹脂製品を作るための材料」
のような存在です。
そして、
マンション大規模修繕工事で使用される資材には、
このナフサ由来製品が数多く含まれています。
例えば、
- 防水材
- 塗料
- シーリング材
- 長尺シート
- 接着剤
- 養生資材
などです。
つまり、
原油価格が上昇すると、
ナフサ価格も上昇し、
結果として建築資材価格へ影響していきます。
■原油価格上昇が工事費へ影響する流れ
実際には、
以下のような流れで工事費へ影響します。
中東情勢悪化
↓
原油価格上昇
↓
ナフサ価格上昇
↓
化学製品価格上昇
↓
建築資材価格上昇
↓
大規模修繕工事費上昇
つまり、
単純に「建設会社が値上げしている」のではなく、
原材料価格そのものが上がっているケースも多いのです。
■なぜマンション大規模修繕工事は影響を受けやすいの?
マンション大規模修繕工事は、
特に石油由来材料との関係が深い工事です。
そのため、
原油価格やナフサ価格変動の影響を受けやすい特徴があります。
■石油由来材料を多く使用するため
大規模修繕工事では、
- 防水
- 塗装
- シーリング
- 床シート
- 養生資材
など、
樹脂系材料を多く使用します。
これらは、
石油由来原料を使用しているものが多く、
価格変動が工事費へ直結しやすいのです。
■特に影響を受けやすい工事項目
■防水工事
特に影響が大きいのが防水工事です。
例えば、
- アスファルト防水
- ウレタン防水
- 塩ビシート防水
- FRP防水
などは、
樹脂系材料を多く使用しています。
そのため、
原油価格変動の影響を受けやすい代表的工事項目です。
■塗装工事
塗料にも、
石油由来成分が多く含まれています。
例えば、
- 合成樹脂
- 溶剤
- 添加剤
などです。
そのため、
外壁塗装や鉄部塗装でも、
価格上昇が起きやすくなっています。
特に溶剤 (シンナーなど)は入手困難な状況となっています。
■シーリング工事
外壁目地やサッシ周りで使用されるシーリング材も、
石油由来製品との関係が深い材料です。
例えば、
- ポリウレタン
- 変成シリコン
などがあります。
建物への雨水の侵入を防ぐ大切な役割があるため、大規模修繕工事ではほぼ必ず施工対象となります。
■長尺シート工事
共用廊下や階段で使用される
長尺シートにも、
塩ビ系材料が使用されています。
そのため、
こちらも原油価格変動の影響を受けやすい工事項目です。
■実際にどんな資材がどれだけ値上がりしている?
実際に、各メーカーから通達されている資材価格の上昇をまとめると以下のようになります。
| 資材 | 主な用途 | 値上げ状況 |
|---|---|---|
| 防水材 | 屋上・バルコニー | 10〜40%上昇 |
| 長尺シート | 共用廊下・階段 | 10〜30%上昇 |
| 塗料 | 外壁・鉄部 | 30〜100%上昇 |
| シーリング材 | 外壁目地 | 20〜30%上昇 |
| 養生資材 | ビニール・テープ類 | 約30%上昇 |
特定資材だけではなく、
全体的に価格上昇している点が、
現在の特徴とも言えます。
また、
世界情勢によっては、
今後も価格変動が起きる可能性があります。
■理事会はどう対応するべき?
大規模修繕工事の各段階別にとるべき対応を解説します。
■見積もり取得段階の場合
まず、提出された見積もりが、中東情勢を加味した内容となっているか否かを確認しましょう。
中東情勢を加味した見積もり金額の場合、当初長期修繕計画や、設計時に想定していた予算を上回る見積もりが出てくる可能性があります。
そうした際に、長期修繕計画や積立金の残高を確認し予算が不足する可能性がある場合は
・工事内容の見直し
・借入の検討
・着工時期の見直し
をおこなっていきます。
「中東情勢により一時的に建築資材が上昇しているのだから、
少し待てば工事価格は下がってくるのでは?」
と思いがちですが、工事価格が下がる保証はありませんし、(資材の価格は下がっても、人件費は毎年約2〜4.5%づつ上昇しています。国土交通省設計労務単価)
着工時期をずらすことにより、劣化状況が進行するリスクもあります。
予定通り実施するリスク、延期した際のリスクをよく協議しましょう。
(安易に先延ばしの判断をしない)
■総会決議段階の場合(工事実施に向けて進む場合)
見積もり取得の時期が、中東情勢による資材高騰の前の場合、
施工会社選定の公平性・透明性の観点から、総会に上程する工事価格は見積もり取得時の金額とし、
工事費の上昇に対応できる予備費を承認事項に盛り込みます。
また、停止条件を盛り込む場合もあります。
・工事着工前に工事費が予備費を超える見込みの場合
・工事着工1ヶ月前に資材の調達が不透明な場合
など
今までよりこまめに施工会社、コンサル(設計事務所)、理事会で情報共有することが大事です。
■工事着工前に意識したいポイント
■工事中に意識したいポイント
■工事費が下がるまで待った方がいい?
「今は工事費が高いなら、
安くなるまで待った方がいいのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、
単純に延期すれば良いとは限りません。
なぜなら、
建物劣化は時間とともに進行するためです。
例えば、
- 漏水
- 下地劣化
- タイル浮き
- 鉄部腐食
などが進行すると、
結果として将来的な修繕費がさらに増える可能性もあります。
そのため、
「値下がりを待つ」
だけではなく、
- 劣化状況
- 安全性
- 修繕優先順位
を踏まえて判断することが重要です。
■まとめ
中東情勢による原油価格変動は、
実際にマンション大規模修繕工事へ影響しています。
特に、
- 防水材
- 塗料
- シーリング材
- 長尺シート
など、
石油由来材料を多く使用する工事項目は、
影響を受けやすい分野です。
背景には、
中東情勢
↓
原油価格変動
↓
ナフサ価格上昇
↓
建築資材価格上昇
という流れがあります。
今後も、
世界情勢によって価格変動が起きる可能性があります。
だからこそ、
管理組合としては、
- 早めの情報収集
- 長期修繕計画見直し
- 丁寧な住民説明
を行いながら、
計画的に修繕を進めていくことが重要になっていきそうです。
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