マンションの大規模修繕工事において、最も重要なポイントのひとつが「施工会社選び」です。
しかし、
- どの会社を選べばいいのか分からない
- 見積の違いがよく分からない
- 不正やトラブルがあると聞いて不安
と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、施工会社の選び方を、実際にある不正事例やトラブルも踏まえながら、初心者にもわかりやすく解説します。
なぜ施工会社選びが重要なのか
大規模修繕工事は、数千万円〜数億円規模になることも珍しくありません。
そして、その工事の「品質」や「満足度」は、施工会社によって大きく変わります。
例えば、
- 同じ工事内容でも仕上がりに差が出る
- 工事中の居住者対応(顧客満足度)に差が出る
- 工事後に不具合が発生する
といったケースも実際にあります。
👉 一度契約してしまうと、途中で変更するのは非常に難しいため、最初の会社選びがとても重要になります。
よくある失敗例
まずは、よくある失敗パターンを見てみましょう。
価格の安さだけで決めてしまう
「一番安いから」という理由だけで選ぶと、手抜き工事や追加費用のリスクがあります。
これはよく、「安かろう、悪かろう」という結果につながります。
決して安くない金額の工事ですので、
見積価格の安さだけで決めてしまうと結果として満足度の低い工事となる恐れがあります。
管理会社や一社の提案に任せきり
提案された会社をそのまま採用してしまうと、
工事価格の妥当性や施工品質など
比較ができず適正かどうか判断できません。
比較検討をしていない
複数社を比較しないと、相場感が分からず判断を誤る可能性があります。
👉 これらはどれも「よくある失敗」です。
逆に言えば、ここを押さえるだけでも大きな失敗は防げます。
施工会社選びの基本的な流れ
施工会社は、以下の流れで選定していきます。
- 業界新聞等による公募
- 見積依頼会社の選定
- 見積依頼
- 見積提出、見積比較、ヒアリング対象会社の選出
- ヒアリングの実施
- 施工会社の理事会内定
- 総会承認(工事内容、工事金額、施工会社)
大規模修繕工事全体の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【15時限目:マンション大規模修繕工事の基礎】準備から完了まで時系列でやさしく解説
【注意】実際にある不正・トラブル事例
大規模修繕工事では、残念ながらトラブルや不正が問題になることもあります。
ここでは、代表的な例を紹介します。
複数社で価格が揃うケース
一見すると競争しているように見えて、実は似たような金額の見積が並ぶことがあります。
👉 いわゆる「談合のような状態」と言われることもあります。
提出されてきた見積もりが不自然に揃っている場合は談合を疑った方が良いでしょう。
実務者としての私見ですが、
設計価格で1億円の工事で6社見積もりを取れば8000万円〜1億1000万円の間でバラつくのではないでしょうか。
内訳が不透明な見積
設計図書で指定した「数量」「仕様」で各社見積もりを作成してきます。
設計段階でなるべく「一式」表記の項目を少なくするとともに、仕様を指定することをお勧めします。
👉 内容が不明確なまま契約すると、後からトラブルになる可能性があります。
各社からの提案を求める場合は、
見積書の備考欄に各社が想定している仕様などを記載してもらうような体裁にしましょう。
手抜き工事や品質低下
他社と比べて安すぎる見積もり金額を提示してきた会社は要注意です。
見えない部分でコストを削減され、工事の品質が下がるケースもあります。
例えば、外壁塗装の塗布回数を減らし、材料や手間を削減する、
仕様よりもグレードの低い材料を仕様するケースや、
鉄部塗装の錆止めや錆落としの工程を省略するケースもあります。
工事完了直後は一見するときちんとした仕事をしたように見えますが、
数年後に施工不良が発言してくる場合もあります。
さらに、安全管理に関する費用を削減するケースもあります。足場の架設時に配置するガードマン(誘導員)を見積もり時よりも少ない人数を配置する場合もあります。
不要な工事の提案
本来必要のない工事を追加され、費用が膨らむこともあります。
または、理事会に報告せずに工事を進めてしまい、後から請求されることもあります。
👉 こうしたリスクがあるからこそ、施工会社選びは慎重に行う必要があります。
不正やトラブルを防ぐためのポイント
では、どうすればこれらを防げるのでしょうか。
ポイントはシンプルです。
必ず複数社から見積を取る
1社だけでは比較ができません。最低でも5社は検討しましょう。
私が考える黄金パターンは
- 5社以上見積もり取得
- ヒアリングを3社
です。
同じ条件で比較する
条件がバラバラだと、正しい比較ができません。
そのため、設計は必須です。指定した内訳書、仕様書に基づいて見積もりを提出してもらいます。
第三者の意見を取り入れる
専門家やコンサルタントの意見を取り入れることで、客観的な判断ができます。
ただし、設計事務所やコンサルタントが特定の会社に誘導するような発言があった場合は気をつけましょう。
あくまで意思決定の主役は管理組合です。
専門家の意見は、管理組合として適切な判断をする上で参考にする一意見として扱いましょう。
情報をオープンにする
理事会や住民間で情報を共有することで、不透明な進行を防げます。
理事会のみの閉じた場で全てを決めてしまうと後々のトラブルにつながります。
議事録等で公開すべき情報は公開していきましょう。
👉 「比較」と「透明性」が、不正防止のカギです。
※ただし、情報を公開するタイミングと内容は慎重に選択する必要があります。
良い施工会社を見極める5つのポイント
ここからは、良い会社を見極めるための具体的なポイントです。
① 実績があるか
マンションの大規模修繕工事の実績が豊富かを確認しましょう。
私が普段ポイントとして見ているのは、マンション「改修」工事の実績です。
新築工事と異なり住まいながらの工事であるため、
工事の良し悪しは「居住者対応」が決めると言っても過言ではありません。
そのため、改修工事を事業の主としている会社を選ぶことが多いです。
② 担当者の対応が丁寧か
これはヒアリング時のチェックポイントですが、担当者=現場代理人の
説明が分かりやすく、質問にしっかり答えてくれるかが重要です。
現場代理人は工事現場を指揮し、居住者の対応窓口となる方です。
③提案内容が適切か
建物の状況に合った提案になっているかを確認しましょう。
見積もりと同時に、工程表や仮設計画図というものを提出してもらいます。
上記資料が当該マンションの特性を考慮されているか確認しましょう。
⑤ アフター体制が整っているか
点検の内容や点検体制もチェックしておくと安心です。
アフターメンテナンス部門が独立しているかどうかが一つのポイントになります。
注意したい施工会社の特徴
逆に、以下のような会社には注意が必要です。
- 極端に安い、または高い見積
- 大幅な値引きがある
- 質問に対して曖昧な回答しかしない
👉 少しでも違和感を感じた場合は、慎重に判断することが大切です。
相見積を取るときのポイント
相見積を取る際には、以下の点を意識しましょう。
- 5社以上で比較する
- 条件を揃えて依頼する
- 内容をしっかり見比べる
見積の詳しい見方については、こちらの記事で解説しています。
17時限目:マンション大規模修繕工事の基礎】理事会が知っておくべき見積書の比較ポイントと不正を見抜くコツ
初心者でもできる判断のコツ
「専門知識がないから不安」という方も大丈夫です。
- 分からないことはそのままにしない
- 違和感を大切にする
- 一人で決めずに相談する
- どんどん質問しましょう
👉 完璧な知識よりも、慎重な判断の方が大切です。
理事会は意見交換の場です、自身の判断が下せるよう少しでも気になることがあれば質問したり、
意見を投げかけてみましょう!
まとめ|施工会社選びは「比較」と「見極め」がカギ
施工会社選びは、大規模修繕工事の成功を左右する重要なポイントです。
- 複数社を比較する
- 不正やリスクを理解する
- 信頼できる会社を見極める
これらを意識することで、大きな失敗を防ぐことができます。
大規模修繕工事は不安も多いですが、正しい知識を持って進めれば安心です。
ぜひこの記事を参考に、納得のいく施工会社選びを進めてみてください。
今後、施工会社選びを実務レベルまで深掘りした記事も書いてみたいと思います!
なお、マンション管理について体系的に知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
▶ マンション管理の基礎|管理組合・管理会社・大規模修繕をわかりやすく解説


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